医療法上では
理事長が夫(妻)、理事が妻(夫)、残りの理事が夫の両親又は妻の両親、という医療法人は多いと思います。
時が経過して、夫の両親や妻の両親が亡くなり、理事を変えないといけない。
そんなときに、子供を理事に入れたいと思うのは自然です。
子供が未成年(18歳未満)の場合は理事にできるのでしょうか。
医療法では、未成年が役員になれないという規定はありません。
しかし、自治体独自の取り扱いも多く、一律ではありません。
多くの自治体で、「18歳以上が望ましい」といった取り扱いがなされおりますが、長崎県では、「意思能力(15歳程度以上)があることが必要」とありますので、自治体によって取り扱いに差があります。
理事の年齢を明示していない自治体も多くあり、判断が難しい部分です。
どうしても未成年の子供を理事にしたい場合は、専門家を通して自治体に確認することをおすすめします。
「医療法人の理事になって問題ないか」を学校に確認して欲しい、と言われる場合もあります。
ご自身で自治体へ直接確認いただいてもよいのですが、自治体の担当者によって回答が違うこともあり、やはり専門家を通した方が確実です。
税務上の注意点
節税対策として、子供を理事にして役員報酬を出したいという場合もあると思います。
ここで注意したいのが、
・理事になれるかどうか
と、
・役員報酬を出してよいか
は別問題だということです。
医療法や自治体の取り扱い上問題がなくても、税務的には役員報酬が否認されることも多々あります。
税務では、
その役員報酬が実態に伴って支給されているか
が重要になります。
形式上は理事でも、仕事としての実態がなければ、役員報酬としては認められません。
単純に、理事だからといってむやみに役員報酬として支給することはあまりお勧めできません。
理事としての人数(3人以上)が足りているのであれば、無理に理事にせず、実際の勤務に応じた通常の給与として支給することも可能です。
例えば、学校が終わった後、自宅で
・税理士に渡す領収書や請求書などの書類を整理した
・スタッフのタイムカードをエクセルに入れ時間計算した
・レセプトデータの分析を手伝ってもらった
など実際にやった仕事(時間)に応じて時給として支給することもできます。
1日3時間、時給1,500円、週4日勤務とすると、1,500円×3時間×16日=72,000円
1年を通しても扶養の範囲内に収まり、節税対策としても有効です。
ただ、繰り返しますが、「実際に仕事をした実態があるか」が重要ですので、実態がない給与とならないよう注意しましょう。
可能であれば、実際にタイムカードを押すか、エクセルなどで勤務時間を管理しておくと、税務調査が入った際にも説明がしやすいのでおすすめです。